紅葉谷公園
宮島の自然
「植物の正倉院」ともいわれる宮島の森を、ゆっくり五感をフルに使って歩こう。

宮島は遠い昔から信仰の対象として全島が保護されたことから、今日まで瀬戸内本来の自然を残し、日本列島の縮図のように海中から山の頂まで調和のとれた生態系で繋がっています。本土に近い位置にありながら、周辺の瀬戸の島では見られなくなったヤマグルマなど貴重な植物が存在。またハマゴウやイワタイゲキが生育する海岸植生や天然のモミ・ツガ林、コウヤマキ林など豊かな植生を見ることができます。大正2年(1913年)に宮島を訪れた世界的な植物学者のエングラー博士が、弥山に自生する原始被子植物のマツブサやヤマグルマをみて「私は一生ここに住んで、ここで死にたい」と語ったというエピソードは有名。とくに古来嚴島神社の社叢(しゃそう)として特別な保護を受けてきた弥山の北斜面一帯は、原始林的様相を保っており、わが国の暖・温帯林の代表的なものとして昭和4年(1929年)、天然記念物に指定されました。

多種多様な植物が生い茂る自然の森は、生命のゆりかご。季節の野鳥や昆虫、鹿やサルなどの野生動物の棲家でもあります。島の至るところで見かけ、宮島のシンボルとなっている鹿は、宮島にもともと生息しているれっきとした野生動物。人間が餌を与えることで健康を害する鹿が増え、個体群の分布が偏ることで結果的に宮島の生態系のバランスを崩してしまいます。このため島を訪れる方々にも、餌を与えないこと、ごみをきちんと始末することを呼びかけています。

●ヤブツバキ(ツバキ科)
宮島を代表する常緑樹で全島に自生。開花時期は早いもので12月から、遅いものは翌年の6月まで。花はサルの好物でもあり、秋から冬にかけてつぼみを食べ、花が咲くとその蜜を吸います。

●ハマゴウ(クマツヅラ科)
真夏の浜辺に鮮やかな紫色の花を咲かせます。砂浜海岸の代表的な植物ですが、瀬戸内海では埋め立てや護岸工事によって急激に姿を消しています。

●ミミズバイ(ハイノキ科)
盛夏に白い花をつけ、花が咲いてから2年半後の秋(11月~12月)に実が熟します。ミミズバイは、熱帯の山地で分布する植物の仲間で、モミやツガと共に生育する姿は瀬戸内海でも宮島以外ではほとんど見られません。

●マツブサ(マツブサ科)
原始的な形態を残した植物として知られ、果実がブドウの房状に実り、茎を傷つけると松の匂いがすることからこの名が付いています。弥山のマツブサは葉の裏が白く、ウラジロマツブサと呼ばれています。

●ヤマグルマ(ヤマグルマ科)
仮導管をもつ原始的な被子植物で、生きている化石ともいわれます。初夏に咲く花は、花弁も蕚もありません。

●ミヤジマトンボ
中国南部の沿岸地域および日本では宮島にしか生息していない貴重種。現在では絶滅の危機に瀕しており、広島県の特定野生生物種に指定されています。

●野鳥
豊かな自然に恵まれた宮島では、四季折々の野鳥観察が楽しめます。これまでに確認されているのは、留鳥31種、夏鳥19種、冬鳥54種、旅鳥32種、計136種。わずか周囲30kmの島で海岸部、水辺、市街地、山地の鳥のほとんどを見ることができるのは、全国的にも大変珍しいことです。

>もっと宮島の自然を知りたい方はコチラ
広島大学大学院理学研究科附属宮島自然植物実験所

ヤブツバキヤブツバキ
ハマゴウハマゴウ
ミミズバイミミズバイ
マツブサマツブサ
ヤマグルマヤマグルマ
ミヤジマトンボミヤジマトンボ
写真:広島大学大学院理学研究科附属宮島自然植物実験所
人と神々が共に生きる島 日本三景 Miyajima